ある日、エレベーターが混んでいたので、階段を使って上がることにしました。階段の中程に差し掛かった時、「どうしていつもそんな風にだらしないの」と叱責する声が聞こえてきました。その声に少し驚きつつ、目的を思い出せないまま階段を上がり続けました。
というわけで
この「だらしない」という言葉の意味や由来について調べたくなり、辞書を引いてみると、以下のように定義されていました。
1. 物事のけじめがなく、きちんとしていない。秩序がない。しまりがない。ぐうたら。
2. 体力が弱い。また、勝負に弱い。
語源について調べると、「だらしない」は「しだらない」の転じたもので、音位転換という現象で生まれた言葉だという説が有力です。江戸時代の滑稽本『浮世床』には、「しだらがない」を「だらしがない」と言い換えた記述があります。
音位転換の例としては、「シタヅツミ(舌鼓)」が「シタツヅミ」、「アキハバラ(秋葉原)」が「アキバハラ」、「サングラス」が「グラサン」などがあります。これらのように、語の一部を入れ替えて使うことで言いやすくしたり、隠語として使われるようになったのです。
また、「だらしない」の元の語「しだらない」の由来については、「じだらく(自堕落)」から来ているという説もあります。さらに、「しだら」は手拍子を意味し、調子が整っていることを指していました。それが「ふしだら」となり、「しだらない」に転じて「だらしない」となったと言われています。
他にも、「駄臘次(だろうじ)」という僧侶の席次が乱れることを「駄」で表して「駄臘次がない」となり、後に「だらしない」となったという説や、「修多羅(しゅたら)」という経本を閉じる紐が切れた状態を「不修多羅」といい、これが「ふしだら」に通じたという説もあります。
これらの調査を通じて、確実な語源に辿り着くことは難しいものの、さまざまな説が存在することがわかりました。これが「だらしない」という言葉の本質かもしれません。
階段で聞いた「だらしない」の声は結局誰が誰に向けて言ったのかわかりませんでしたが、その言葉に触発されて、自分自身の振る舞いを見つめ直す機会になりました。「しだら」とは調子が整っていること。今日も最高の「しだら」で過ごせるよう、心がけたいと思います。
前の記事で書いたのとは違うけどね。わかってる。自分の中にも多様性(笑)